従来の住宅ローン減税が2021年11月30日契約期限、2022年12月31日入居期限という事もあり、急いで住宅を購入された方も多いのではないでしょうか?
2022年の改正でどう変わるのか、12月10日に決定したとりまとめの内容も含め、詳しく解説していきたいと思います。
目次
2022年住宅ローン控除改正について
控除額が下がり改悪などと言われている改正内容ですが、実際はどうなのでしょうか?
国土交通省から出された「国土交通省税制改正概要」を見ていきましょう。

引用:令和4年度 国土交通省税制改正概要 国土交通省
1.制度の期間延長
住宅ローン控除の制度ですが、4年間期間延長され、2025年までの適用になりました。
その後の予定は未定ですが、住宅取得促進のための同じような制度は経済の回復に向け必要となるため、今後も継続されるのではないかと予想されています。
2.控除率の引き下げ
控除率が1%→一律0.7%(新築・中古住宅共通)
住宅ローン控除は所得税から年末の住宅ローン残高×控除率の分が戻る制度です。(控除しきれなかった分は住民税の一部からも戻ります)
例えば年末の住宅ローン残高が3000万円の場合、最大で0.7%分の21万円が戻ってきます。(上限あり)
3.控除期間
- 新築住宅・買取再販10年→13年(不動産会社等が買い取った中古住宅をリフォームして販売している物件)
- 中古住宅→10年
注意しなければならないのが2024年以降の一般の新築住宅や買取再販の住宅です。
認定住宅など環境に配慮した住宅は13年間の控除期間となりますが、一般の新築住宅は2024年以降の入居から10年間に変更となります。
4.借入上限額
住宅ローン控除は適用される借入上限額が決まっています。
上限を超えた金額には控除が適用されません。
2022年の改正で
- 一般の住宅→3000万円まで
- 認定住宅等→5000万円まで
となり、その他の一般の住宅のみ上限額が引き下げられています。
2024年以降新築住宅においてこの金額が引き下げられる予定です。
【新築住宅、買取再販】
認定住宅
〜2021年→5000万円
2022年、2023年→5000万円
2024年、2025年→4500万円
ZEH
〜2021年→4000万円
2022年、2023年→4500万円
2024年、2025年→3500万円
省エネ基準
〜2021年→4000万円
2022年、2023年→4000万円
2024年、2025年→3000万円
その他
〜2021年→4000万円
2022年、2023年→3000万円
2024年、2025年→0円
(2023年までに新築の建築確認がされている場合は2000万円)
【中古住宅】
認定住宅
期間問わず一律3000万円
(2022年以降はZEH、省エネ基準を含む)
その他
期間問わず一律2000万円
5.その他
控除額に直接は関係しませんが、参考に所得要件や中古住宅の築年数要件なども説明していきます。
住宅取得資金の贈与税の非課税枠は資金援助を受けられる方には重要な項目です。
(1)所得要件引き下げ
年収3000万円以下→2000万円以下を対象へ
住宅ローン控除が適用出来る所得が年収3000万円以下から2000万円以下に変更され、中間所得層を対象とした制度になりました。
(2)新築住宅の床面積要件緩和
50㎡か→40㎡へ緩和
マンションは内法面積なので注意が必要です。
消費増税に伴う2019年の改正で適用され、当面の間継続となりました。
単身者、2人暮らし向けのマンション購入などの需要増が見込まれての改正だと言われています。
期間に関しては2023年までに建築確認(建物を建築する際に、建築基準法に適合しているか検査機関に確認してもらうこと。)をした住宅が対象となり、所得が1000万円以下(年間)という要件が付いています。
(3)中古住宅の築年数要件緩和
中古住宅は1982年以降建築された住宅が適用対象に今までの制度では…
- 鉄筋コンクリート造などの耐火住宅→築25年
- 木造住宅などの非耐火住宅→築20年
上記の適用条件から外れる場合、「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」もしくは「耐震基準適合証明書」の提出が必要でした。
2022年の改正で1982年以降の住宅は新耐震基準に適合するとして、従来のように証明書を提出する事が不要になりました。登記簿上の建築年だけで適用が証明できるので手続きの手間が省けて良いですね。
(4)贈与税について
住宅取得資金の贈与税の非課税措置が継続される事に、父母、祖父母からの住宅資金の援助は…
- 省エネ等の良質な住宅→1000万円
- 一般の住宅→500万円
上記の金額が非課税となります。
適用期間が2年間延長され2023年までになりました。
中古住宅の築年数に関する適用要件については住宅ローン控除改正後も同様となります。
住宅の種類で違いがあるのかどうか
新築住宅のなかにZEH、省エネ基準が追加され、今回の改正では環境性能に応じて優遇が手厚くなりました。
一方で一般の住宅は借入限度額が4000万円→3000万円に引き下げ
2024年以降の入居では0円(2023年までに建築確認がされている場合は2000万円)、控除期間が10年になるなど大きな差が出ています。
それぞれの住宅で控除額がどのように異なるのか、改正後の住宅ごとに見ていきましょう。
【新築住宅】
控除期間(13年)
認定住宅
残高の上限:5000万円
1年間の控除額:35万円
トータルの最大控除額:455万円
ZEH
残高の上限:4500万円
1年間の控除額:31.5万円
トータルの最大控除額:409.5万円
省エネ基準
残高の上限:4000万円
1年間の控除額:28万円
トータルの最大控除額:364万円
その他
残高の上限:3000万円
1年間の控除額:21万円
トータルの最大控除額:273万円
【中古住宅】
控除期間(10年)
認定住宅
残高の上限:3000万円
1年間の控除額:21万円
トータルの最大控除額:210万円
その他
残高の上限:2000万円
1年間の控除額:14万円
トータルの最大控除額:140万円
上記でわかるように、認定住宅が455万円と一番控除金額が高くなっています。(認定住宅=長期優良認定住宅、認定低炭素住宅等)
マンションにも認定住宅があるため、購入の際は確認するようにしましょう。
長期優良住宅の申請と審査には20〜30万円がかかると言われていますが、控除の金額をふまえてもお得ですね。
申請を受ければ性能が満たされた住宅であることが証明されます。
ここで注意が必要なのが、必ずしも最大の控除額=実際の控除額にはならないということです。
納めた所得税と住民税から住宅ローン控除が行われるため、年収によって控除額の上限が異なります。
控除額を知りたい場合は、自分の年収から金額を計算してみましょう。
今住宅ローン控除を受けている人への影響はあるのか?
既に住宅ローン控除の適用を受けている人は2022年の改正対象にはなりません。
現在の控除率や限度額などが継続されるので、影響はありません。
改正で最大控除額はどれくらい変わったのか
2021年までに住宅ローン控除を受けている人と、還元される金額はどれくらい違うのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
【新築住宅、買取再販】
認定住宅
〜2021年→600万円(消費税10%)
2022年、2023年→455万円
2024年、2025年→410万円
ZEH
〜2021年→480万円(消費税10%)
2022年、2023年→410万円
2024年、2025年→319万円
省エネ基準
〜2021年→480万円(消費税10%)
2022年、2023年→364万円
2024年、2025年→273万円
その他
〜2021年→480万円(消費税10%)
2022年、2023年→273万円
2024年、2025年→140円
(2023年までに新築の建築確認がされている場合)
【中古住宅】
認定住宅
〜2021年→300万円
2022年、2023年→210万円
2024年、2025年→210万円
(2022年以降はZEH、省エネ基準を含む)
その他
〜2021年→200万円
2022年、2023年→140万円
2024年、2025年→140万円
上記を見ると認定住宅やZEH、省エネ住宅は減額が少ないですね。改正により、環境性能に配慮した住宅に対して控除内容が手厚くなったことがわかります。
まとめ
改悪とも言われている住宅ローン控除改正ですが、2024年以降はさらに削減される予定となっています。
住宅購入にはじっくりと時間をかけたいですが、現在検討されている方は駆け込み需要が予想される2024年よりも前に決める方が良さそうですね。
今回の改正で一番控除額が大きくなるのは認定住宅です。
高性能で省エネな住宅は単価が高いですが、減税効果や光熱費などのランニングコストを抑えるため、快適な住宅であるとも言えるでしょう。
今後は認定住宅やZEHといった高性能なものが主流になりそうですね。
2022年の住宅ローン控除改正について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか?
住宅購入をご検討の方はぜひ参考にしてみてください!